2008年夏山山行(屏風編)

日程:2008年8月13日夜発?8月17日夜着
メンバー:栗田(CL)、橋本(記録)
山域:屏風岩東壁 東稜

8月13日夜
20:30 南茨木に集合して5人で行く予定であったが、もう一方のパーティーのメンバーが仕事のため、ドタキャン。
そのため、パートナーと同テントで宿泊予定だったもう一人が急遽取りやめになった。実は、数日前から良くない
予報が出ていたこともあって、栗田さんと相談した結果、天気が悪かったら「キャンプだホイ!」に変更することにして、
出発した。約6時間走って沢渡に到着。朝まで車中で仮眠をとることにする。それにしても、車で来ると早いし楽だ。
安房トンネルのおかげである。(ついでにETCの夜間割引で安くこれます)

8月14日
シャトルバスが動き出したので、起きることにする。今日は、横尾までの移動が目標である。空を見ると予報通りどんよりと
曇っていて今にも降り出しそうである。やっぱり、予報は当たっていたのかなぁ。と思いつつバスに乗って上高地へ。
バスを降りて朝食を食べたりして、7:20横尾へ出発。
約3時間後の10:00過ぎ横尾到着。早速幕営。横尾のテント場には意外と親子連れが何組かいて見ていて心を和ましてくれる。
幕営の終了を待っていたかのように雨が降りだした。結局、この日は終日雨。
歩いて20分ほどの渡渉点を見に行っただけだった。

8月15日
雨かもと思いつつとりあえず、3時起床。やっぱり、雨である。のんびりと食事をしていると雨が上がった。
じゃあということで、出かけることにする。出発も遅いし、今日の目標はT4である。渡渉点を渡って、
1ルンゼ押し出しを登っていく。屏風は霞んではいるがそれほど、悪天候ではなさそうである。
雪渓脇を登ってT4取り付きに到着する。6月に栗田さんが来たときは雪渓が大きく取り付きはシュルンドの
中だったらしいが、さすがに8月になると雪渓も減って露出している。

T4取り付きで、準備をする橋本
ガスった1ルンゼ
残雪の残るT4の取り付き
T4 1P目
岩はびちゃびちゃでつるつるすべる。そんな状態の中、来たことの無いルートは大変だからよく知っている私が行きますといって
栗田さんが登って行ってくれる。でも、あまりの状態に途中にハーケンを一本追加。
どうぞのコールに橋本も登りだす。そのとたん、つるっ!いきなり、テンションがかかる。気を取り直して登った。
T4 2P目
ぐいぐい行けるこのピッチは大好きだといいながら栗田さんが登っていく。登ってみると確かにガバの連続である。途中、
一箇所バランシーなトラバースがあるがそこだけだったた。特に今日のようにぬれているときは、1P目より安心である。

2P目が終了したところで、雨が降り出した。元々、濡れてびちゃびちゃなのにこれ以上濡れられたらもうだめと、早々に撤退を
決定した。懸垂をしようと下を見ると、1パーティ取り付いている。時間もあるし、パーティが登り終わるまで待つことにして
写真撮影などをしていた。登ってこられた方は、今日は雲稜の扇岩を目指しているということでした。
リードがあがってきたので、先に我々が懸垂で下ろしていただくことにした。この間に雨は止んでいた。そして懸垂開始。
懸垂中もどんどん天気は回復。岩もどんどん乾いて、ついに取り付きに着いたときには、完全に乾いていた。
ちょっと、後悔。でも、決めたことを覆したらもっと後悔することが起こる気がして、東壁ルンゼを見たりしながら
横尾へ戻った結局、その日は夕方までいい天気だったのだが、夕方急に大雨。すぐに止んだので夕立のようだが、
全く良くわからない天気だ。

2P終了点の橋本 後ろのパーティーの方
T4取り付きに戻ってくる。青空も見えてきた。
まだ、残雪が残っていました。 すごい一枚岩の東壁ルンゼ。 それを見て絶対無理とビビリまくる橋本。 明日はいくぞー!と気合を込める橋本。
完全にリラックスムードの橋本。
やぁーと、平常心の栗田さん テント場はいい天気。
8月16日
3時に起床。昨日の横尾小屋の天気予報は晴れ。起きてみると、わずかに星が見えていた。こりゃ、いい天気だと用意をして
岩場に向かうことに。このとき、軽量化を考えて雨具を省略した。一応、ウィンドブレーカはあるので、大丈夫と思ったけど、
結局、後悔する羽目に。4時出発。4時20分渡渉。5時20分T4取り付きに到着。既に1パーティが取り付いていて、
2パーティが順番を待っている。今朝、3時頃に出発したパーティーがあったことを思い出した。う?ん、これに勝つためには、
取り付きにビバークするしかないなぁ。結局、我々が取り付いたのは、6時20分頃。なんだか昨日降りてきたのとあんまり
変わらない時間になってしまった。
T4 1P目に取り付く先行パーティー
順番待ちを繰り返しつつ、T4に到着。しかし、取り付いている先頭パーティのセカンドが雲稜の1Pでもがいている。
どう見ても進めそうな気配なし。しょうがないので、記念撮影をして、東稜に転進。このあと、先行のパーティーは
2パーティーとも撤退したらしい。東稜に転進した我々は、東壁ルンゼの途中であるT3を取り付きはここかなどと言いつつ、
東稜取り付きのT2に移動。東壁ルンゼは下部はすごい一枚岩で上部はかぶり気味の垂壁。上には、への字も見える。
雲稜1P目でもがいている先行パーティーのセカンドと次のパーティーのリード。結局彼らは、この後懸垂で撤退していったらしい。 すごい青空。後ろは東壁ルンゼと東稜。 雲稜1P目取り付き。それにしても、T4はでかい。
東稜 1P目
東稜は栗田さんも1Pしか行っていないらしく、リードを希望された。弱気な私は、どうぞとあっさり。いかん。
そんな弱気ではどうする。ルートを見上げてみると、なにやら、ヒモ関係がぶらぶらと。う?ん、やっぱり、ヒモですか。
金属の輪ではなくて。でも、岩は硬いのでピンはかなり効いている様子。まぁ、やばそうな所は自前のヒモをかけつつ進むしか
なさそうである。いきなり全て人工のピッチ。途中、のっこしあり。栗田さんはすんなり。行ってみたら、意外とのっこしが
たいへんだった。やっぱり、小太郎へ行って練習しとくんだった。まぁ、とりあえずセカンドの気楽さでぶら下がっている
ヒモもフルに動員して突破する。あがってみたら、そこはレッジの上で既にけっこうな高度感。
?番待ちを繰り返しつつ、T4に到着。しかし、取り付いている先頭パーティのセカンドが雲稜の1Pでもがいている。
どう見ても進めそうな気配なし。しょうがないので、記念撮影をして、東稜に転進。このあと、先行のパーティーは
2パーティーとも撤退したらしい。東稜に転進した我々は、東壁ルンゼの途中であるT3を取り付きはここかなどと言いつつ、
東稜取り付きのT2に移動。東壁ルンゼは下部はすごい一枚岩で上部はかぶり気味の垂壁。上には、への字も見える。
1P目のヒモ達
東稜 2P目
左に斜上してどんどん進む。でだしは、ガバフレークを握ってその後は、全部人工。最上段に乗ることはほとんどなく、
2段目だけでも何とかなる。途中、フリーのルートが混じって鉄ボルトのペツルもある。でも、混じったらどうもルートが
良くわからない。着いてみたらアブミビレーだった。すごい、高度感でまさに空中でのビレー。
はるか下300mに横尾谷が見える。
すっきりとしたスラブをきれいに左上に伸びていくロープごい青空。後ろは東壁ルンゼと東稜。 2P目途中の橋本。すごい高度感。かっこいー!
3P目のビレーをする橋本。背景は300m下の横尾谷。まさにアルパインなワンショット。
東稜 3P目
2P目のビレー点から左にトラバースすると、ほんの数mでさっきよりずっと安定したレッジのビレー点を発見。ここから
左斜め上に屈曲するのと、ロープの受け渡しが良くなく落ちそうになったため、一旦、切ることに。きっと、ここが本当の
ビレー点だったのかも。

東稜 4P目
左ランペ上を左上したあと上部へ。人工とフリーのミックスで登っていく。
途中、さらにビレー点を見つけるが、とりあえず、先に進んでみることに。これが正解だったようだ。

東稜 5P目
今度は右にトラバース。結構、いやらしい感じである。ピナクル上の岩の上から垂直に登っていく。途中、あやしいヒモが
いっぱいかかったピンで栗田さんがヒモを切ろうとして自分の指ごと切ってしまった。おかげで栗田さんのダイニーマの
シュリンゲは血まみれシュリンゲに。さらに、血まみれシュリンゲに乗りながら少々、遠い目の上のピンを取らなければ
行けない。ここで、チョンボフック登場。おかげでここも突破。
でも、既に1時を廻っている。や、やばい。
スピードアーップ。でも、このピッチが私にとっては核心でした。
(と思っていたのだが今回の本当の核心はここではなく。。。)

5P目右トラバース中の栗田さん。
5P目の終了点でビレーをする
栗田さん。
雲稜を登るパーティー。この後、彼らは懸垂で降りて行った。
5P目ビレー中の橋本。
東稜 6P目
あがってみたら栗田さんが次が見当たらないので、右へ見に行ってほしいという。このピッチはどうも、
草つきをたどってあがるらしい。ピンを探して右に移動してみたら、なんだか傾斜のゆるい草付きが。
ボロボロの懸垂点(の残骸)もあったので、ここから登ってみたところ正解だった。ぐるっと廻って
ピナクル上の岩が顕著な安定したテラスにでた。
ピナクルテラスでルートを確認する栗田さん
東稜 7P目
ついに最終ピッチである。栗田さんは疲れたと言っていたが、ここは、有終の美を飾ってどうぞと言ってお願いする。
ところが、栗田さんが登っている最中に突然大雨が振り出した。そういえば、さっきから雲行きが怪しかった。
すごい雨と風でビレーをしながら風上の左ばかりがずぶぬれになる。風があるので、ものすごく寒い。
サブいぼが出ちゃいました。でも、栗田さんは人工からフリーに変わったところでの雨。根性で草つきに指を
突っ込んで登っていた。結局、2人が終了点に到着したのは、16:00過ぎ。とりあえず、お約束のがっちり握手。

予定通り、上部に抜けられるかを木登りしてみるも既に辺りは、ぬるぬる。多分、これを伝って登るのかと思われる
岩もびちゃびちゃのぬるぬる。到底、突破できずに懸垂をすることにした。でも、時間は結構厳しい状態。とりあえず、
なんとか脱出を試みることに。

17:00 懸垂開始。
ルートがかなりトラバースをしているので、懸垂点を探しつつの懸垂である。かなりの雨の中をずぶぬれで降りていく。
そして、T2が見えてきた。これがT2に到着?とおもってしまったのが大間違い。結局、10mほど足らず途中で終わり。
しまった、もう一回切るんだったと思っても後の祭りでした。ところが、よくしたもので、同じことをした先行パーティーが
いたようである。リングが2本打たれている。しかも、根元までしっかりと入ってよく効いているようだ。もう、
これにかけるしかなく、そっと懸垂した。結局、抜けずにT2とT3の間に到着。

最後の懸垂前にロープを抜いていたところ、ぱーんというような破裂音が。なんだったのか良くわからない音でした。
もしかしたら、支点が抜けた音だったのかもしれません。それぐらいの破裂したような音でした。

19:00 懸垂終了。
すっかりと日は暮れて、辺りは暗くなっていた。ヘッドランプをつけてT4までとりあえず移動。

19:20 T4到着
こんな真っ暗では、とても、T4を懸垂する気にはなれず、ビバークを決定。
でも、ツエルトはない。今日は横尾においてきた。しかも、橋本はまぬけにも雨具を横尾においてきた。と、
栗田さんがレスキューシートの事を思い出してくれた。よくぞ、思い出してくれました。そうです。6月の秋山さんの事故後、
ザックの雨蓋にレスキューシートを入れていたのです。もしもの事故の時のために持っていたレスキューシートが
こんな形で役立つとは。しかもレスキューシートかなり大きく2人がすっぽりかぶれてしまいました。
この567円はすごい価値ある567円でした。桁が2?3桁上がっていてもいいぐらい私にとっては価値がありました。
ぜひぜひ、お勧めします。ツエルトの替りにもなるし、もしもの時にはすごい役に立ちます。

19:40 レスキューシートを被ってビバーク開始
幸いにも水は涸沢経由を出来るように持っていたので、まだ、300ccは残っていた。
それと行動食の残りをかじって朝を待つことに。
寒くて寒くて、隣のオヤジと出来るだけくっついていたいなんて普段絶対考えないことを思いつつ、
時計とにらめっこになった。寒いせいか足が何箇所もつってそのたびに足を伸ばしたり、マッサージをしたりし続けた。

8月17日
4:30 懸垂準備にかかる。
雨は一晩中降ったり、止んだりを繰り返していた。朝も小雨が降る中、懸垂の準備にかかった。体はあちこち痛いし、寒いし。

5:00 懸垂開始
やっと、降りられる。でも、慎重に懸垂を繰り返す。

7:00 T4取り付きに到着。
つ、ついに安全圏にでた。とりあえず、装備をはずしてザックに入れる。
はずす速度まで遅くなるぐらい疲れている。

7:50 渡渉点
シャリバテまで併発しつつ、1ルンゼ押し出しを下った。栗田さんには、先に行ってもらい、渡渉をして登山道へ。

8:20 横尾着
やっと、やっと。終わった。すごい経験だ。とりあえず、着替えて濡れたものを広げる。もう考える気力が
なくなっていたので気付かなかったのだが、実は、そこそこいい天気だった。ラーメンを食べて、少し眠ることにした。

10:30 起床。
30分ほど眠ると元気が出た。栗田さんは寝ていないのでは?
さて、起きてパッキングだ。テント、濡れたロープや登攀具をいれるとすごい重い。明らかに往きより重い。
自宅で計ってみたら25kでした。行く前は22kだったので3k増加でした。

12:00 横尾出発。
15:00 上高地着。
16:00 沢渡で車に乗り換え。
16:30 ひらゆの森到着。
17:15 ひらゆの森出発。
22:00 大阪着。
途中、ひらゆの森で風呂に入ってさっぱりした後、一路、大阪へ向かって走った。東海北陸道で渋滞に
巻き込まれた以外はすごく順調に走って帰阪。
こうして、栗田・橋本Pの夏山山行(屏風編)は無事終了した。

(橋本記)